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水質汚濁に係る環境基準の見直し

水質汚濁に係る環境基準の見直し

令和3年10月7日、公共用水域の水質汚濁に係る環境基準及び地下水の水質汚濁に係る環境基準の改正について告示されました。施行期日は令和4年4月1日です。
内容は、以下のとおりです。

〇人の健康の保護に関する環境基準のうち、六価クロムの基準値が見直されました。
 0.05mg/L→0.02mg/L(基準値は、年間平均値)

平成 30 年9月に内閣府食品安全委員会において、六価クロムの一日耐容摂取量(TDI)が 1.1 μg/kg体重/日と設定されたことを受けて、令和2年4月に水道水質基準の基準値が 0.05 mg/Lから 0.02 mg/Lに改正されました。この改正を受けて、環境基準についても上記のとおり見直されました。

〇生活環境の保全に関する環境基準のうち、大腸菌群数を削除し新たな衛生微生物指標として大腸菌数が追加されました。基準値は、河川、湖沼、海域別に各類型毎に決められています。

大腸菌群数は、ふん便汚染の評価として定められてきましたが自然由来の細菌をも含んだ値が検出され、汚染の状況を的確に捉えていない場合がありました。一方、より的確にふん便汚染を捉えることができる指標として大腸菌数がありますが、環境基準制定時には大腸菌のみを簡便に培養することは難しい状況でした。最近になり、この大腸菌のみを簡便に培養する技術が確立されたことから、ふん便汚染の指標として採用されることとなりました。


大腸菌群数の測定に採用されていた方法は、最確数法といわれる統計的な手法により推定するものですが、大腸菌数の測定は、試料をろ過したメンブレンフィルターを特定酵素基質培地に貼付け培養し生じた大腸菌のコロニーを計数するものです。

推定値より、計数値の方が正確なような気がしますが、いずれも確立され決められた方法で測定するのでその評価値に変わりはないと考えます。一方、ふん便性の汚濁の評価指標としては、大腸菌数によるものがより正確であると考えます。

分析を行う者としては、身近にある菌類の測定なので、器具、試薬、自身の滅菌にはものすごく気を使います!

参考:

日本食品微生物学会雑誌 Jpn. J. Food Microbiol., 34(2), 131‒134, 2017:最確数(MPN)の計算方法およびその推定プログラムの開発

環境省水・大気環境局水環境課:水質汚濁に係る水質環境基準の見直しについて(概要)

環境省 水環境部会 生活環境項目環境基準専門委員会(第9回)議事次第・配付資料 資料2:生活環境項目環境基準における大腸菌群数について

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