最近、「50年に一度の豪雨、高温、・・・」などの極端な気象現象が報じられています。統計的には、こういった異常気象が発生する可能性はありますが、最近は50年に一度の現象が頻発しているように感じます。
図 2017年の九州北部豪雨による被害
福岡県朝倉市の赤谷川、小河内皮、乙石河合合流付近における流木の被害(7/8)。
出典:国土交通省 平成29年7月九州北部豪雨による土砂災害の概要 <速報版>vol.6(2017)
図 2018年7月23日15:00の気温
この日は、全国の多くの地点で35℃以上の猛暑日になりました。また2018年は、観測史上最高気温の記録更新が相次いだ年になりました。
出典:日本気象協会HP
異常気象に起因して、農業、漁業など一次産業への被害、水資源の枯渇、生態系への影響が顕著になっています。また地球規模では、北極海の海氷の減少、海面水位の上昇、大規模森林火災の多発、洪水などの極端現象・災害の発生、食料不足、感染症の拡大など、さまざまな影響・被害が出ています。
これら異常気象、現象などの気候変動は、人の活動に伴い温室効果ガスの排出が増え地球温暖化が進んでいることによるものと考えられ、特に化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭素の排出に起因していると言われています。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書のうち、第1作業部会(自然科学的根拠)の報告では、地球温暖化の原因は「人間活動が大気・海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」とされています。
図 大気中二酸化炭素の世界平均濃度の経年変化
温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)が世界各地の観測データを収集し、それをもとに解析した大気中二酸化炭素の世界平均濃度の経年変化を示します。
青色は月平均濃度。赤色は季節変動を除去した濃度。
出典:気象庁HP
図 日本の年平均気温偏差の経年変化
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。
基準値は1991〜2020年の30年平均値。
出典:気象庁HP
図 2100年までの世界平均気温の変化予測
(1950~2100年・観測と予測)
出典:JCCCA全国地球温暖化防止活動推進センター
昨今の化石燃料依存型の発展の下で、気候政策を導入せず今までのペースで温室効果ガスが排出されたとすれば、2100年までの世界平均気温は1850~1900年を基準とした場合、最大5.7℃上昇すると言われています。
局所的な公害問題に対し、気候変動は地球規模の問題であり、国際社会が一体となって直ちに取り組むべき重要な課題とされ、1992年に国連気候変動枠組条約が採択されました。この条約に基づき1995年より毎年、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催され、世界での実効的な温室効果ガス排出量削減の実現に向けて、精力的な議論が行われてきました。
2015年にフランスのパリで開催されたCOP21では、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みとして、パリ協定が採択されました。
日本では2020年10月、菅政権が「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」ことを目指す「2050年カーボンニュートラル宣言」を表明しました。カーボンニュートラルとは、CO2排出をゼロにするのではなく、排出量と吸収量を均衡させて、結果的にゼロにするという考え方です。さらに具体的な取組みとして、2021年に「地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。カーボンニュートラル宣言により、脱炭素に向けた取り組みが加速し、関連政策の決定や一般企業の自主的な取り組みのきっかけとなっています。
図 カーボンニュートラルの考え方
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
出典:環境省HP
一般企業を含めた日本社会では、ハイブリッド自動車の導入、ソーラー発電の普及、風力発電の導入など、脱炭素社会に向けたさまざまな取組みが行われていますが、温室効果ガスの排出削減に向けた行動はまだ十分ではないのではないでしょうか。また、何から手を付けて良いのか、これ以上何をすれば良いのかと言った悩みもあるのではないでしょうか。
自社の活動により排出される温室効果ガスの排出量を把握し、削減目標、手段を明確にし、取組む方法として、サプライチェーン排出量を評価し計画的に対策を進めてゆくことが効果的です。