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北海道計測技術

サプライチェーン排出量の算定方法

1.基本的な算定方法

サプライチェーン排出量は、Scope1,2排出量とScope3排出量を合計して算定します。本提案では、Scope3の算定方法についてご説明いたします。
Scope3は基本式を15のカテゴリごとに計算し、合計して算定します。

 

2.サプライチェーン排出量算定の4つのSTEP

サプライチェーン排出量の算定に当たっては、継続的な排出量の管理や透明性の高い情報開示の観点から体系的に算定を進めることが重要です。
算定の大まかなSTEPは以下の通りです。

STEP1算定目的の設定
算定目的の設定に際しては、「サプライチェーン排出量を算定するメリット」や「ビジネスへの活用」を考慮して決めると良いでしょう。以降のSTEPにおいて判断に迷った場合は、STEP1で設定した算定の目的をもとにご判断ください。
STEP2算定対象範囲の確認
サプライチェーン排出量の算定の際には、グループ単位を自社ととらえて算定する必要があります。
STEP3Scope3活動の各カテゴリへの分類
サプライチェーンにおける各活動を、漏れなくカテゴリ1~15に分類していきます。
STEP4各カテゴリの算定
 STEP4-1:算定の目的を考慮し、算定方針を決定
 STEP4-2:データ収集項目を整理し、データを収集
 STEP4-3:収集したデータを基に、活動量と排出原単位から排出量を算定
 算定方針はSTEP1で設定した算定の目的が実現できるように、設定してください。

 

3.STEP1 算定目的の設定

算定目的に応じた適切な算定を行うための留意点
算定目的の例を表に掲載します。それぞれの算定目的ごとに必要となる算定精度や算定範囲が異なります。サプライチェーン排出量の算定においては、可能な限り算定精度・算定範囲を高めることが望ましいとされますが、算定精度を高めると算定の労力・コストの増大も懸念されることから、算定目的に応じた算定精度を意識することが重要と考えられています。よって、算定目的の設定に際しては、どのような事業目的を達成するために算定に取り組むのかを踏まえ、算定目的の達成に必要な算定精度などを明確にしてください。
また、算定の目的にもよりますが、算定は段階的に取り組むことが必要と考えられます。

算定目的の例(出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省))

算定する目的は、会社によって様々です。まずは、会社が何のために算定するのかを理解することが重要です。その上で、目的に応じた算定方法を設定する必要があります。

 

4.STEP2 算定対象範囲の確認

算定対象とする範囲は、事業者が提供する製品・サービスに関する排出で、原則として次表に示す範囲です。自社として算定すべき組織的範囲が、原則としてグループ単位(=自社+グループ会社)であることや、1年間の事業活動に係る過去・未来を含む排出は、イメージしにくいため詳しく説明します。

サプライチェーン排出量の算定対象範囲(出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省))

 

4.1 組織的範囲について

算定・報告・公表制度はグループ単位ではなく個社を自社の範囲として対応しますが、サプライチェーン排出量ではグループ単位を自社の範囲として対応する必要があります。特に、グループ内企業との取引がある場合は注意が必要です。例えば調達物輸送の場合、多くの場合はScope3カテゴリ4の「輸送・配送(上流)」に該当しますが、グループ内の輸送会社が輸送している場合はScope1,2に該当する可能性があります。このように、サプライチェーン上の各活動が、Scope1,2か、Scope3かを意識しながら、カテゴリに分類していく必要があります。

グループ単位を自社の範囲とする考え方のイメージ(出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省))

 

4.2 時間的範囲について

自社の活動からの排出量(Scope1,2)については、算定対象とした報告年度に実際に燃料消費などで排出した排出量が該当します。一方、Scope3排出量(サプライチェーンの上流や下流の排出量)の排出時期は、算定対象とした報告年度とは異なる場合があります。例えば、原材料の製造等に関しては、報告年度ではなく過去に製造されている場合が想定されます。また、製品の使用や廃棄に関する排出については、将来の排出量を推計することになります。表3に、Scope3排出量のカテゴリごとに、算定対象となる活動が実際に排出している時期を整理します。

算定対象とする排出量が実際に排出される年度(出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省))

  

5.STEP3 Scope3活動の各カテゴリへの分類

算定対象範囲を確認した後は、Scope3活動をカテゴリ1~15に分類し算定を行います。全てのカテゴリについて排出量を算定することが望まれますが、算定の目的や排出量全体に対する影響度、データ収集等の算定の負荷等を踏まえて、カテゴリ内で算定対象とする範囲を限定することも可能です。具体的に、一部の算定対象範囲を除外する際の基準としては、以下が挙げられます。

・該当する活動がないもの
・排出量が小さくサプライチェーン排出量全体に与える影響が小さいもの
・サプライチェーン排出量全体に大きな影響を与えないもの※であって
 -事業者が排出や排出削減に影響力を及ぼすことが難しいもの
 -排出量の算定に必要なデータの収集等が困難なもの
 ※カテゴリ毎に排出量を評価、開示する場合にはカテゴリの排出量に大きな影響を与えないもの
・自ら設定した排出量算定の目的から見て不要なもの

算定対象とする範囲を限定した場合の情報開示に当たっては、どのような理由でどの範囲を算定対象としたか(又はどの範囲を算定対象外としたか)を明確にするため、算定した排出量と併せて算定範囲及びその理由を開示することが必要です。また、算定対象外とする範囲についても、例えば、最初の 1 年間のみ算定を行い、その後は同一の値を用いることとするなど、一度は何らかの方法でサプライチェーン排出量の全体を捉えることが望まれます。

各カテゴリへのScope3活動の分類(出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省))

 

6.STEP4 各カテゴリの算定

算定目的が達成できるレベルを考慮しながら、各カテゴリについて算定方針の決定、データの収集、排出量の算定を実施します。

〇STEP4-1算定の目的を考慮し、算定方針を決定

 STEP1で設定した算定目的を考慮し、サプライチェーン上の各活動の算定方針(算定精度や算定方法等)を決定します。

〇STEP4-2データ収集項目を整理し、データを収集

 データ収集項目とデータ収集先の整理をします。表にデータ整理例を示していますので、自社の活動を考える際にご参照ください。

各カテゴリの算定方針とデータ収集項目、データ収集先の整理(例)(出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省))

〇STEP4-3各カテゴリの排出量を算定します。

各カテゴリの排出量の算定方法には、以下の2通りがあります。
 ① 関係する取引先から排出量の提供を受ける方法(一次データを利用する方法)。
  (例) 取引先から「@@年度の貴社向け生産に係る総排出量は**トンでした」のような報告を受ける。
 ② 基本式「排出量=活動量×排出原単位」を用いて、各カテゴリの排出量を算定する方法。
  (例) 活動量を自社で収集。排出原単位は、外部データベースや取引先から得る。
実務上の主流が②であり、①の一次データを利用した場合、サプライチェーン全体の排出量を把握するのは不可能と考えられた場合でも、取引先の削減効果がScope3排出量へ反映されやすくなるといったメリットもあります。

具体的な算出の例に関しては、環境省などが公表している資料が参考になります。

 

7.簡易な算定方法

簡易な算定方法をご紹介します。これらの算定方法は15カテゴリ全体の概要の確認を目的として算定に初めて取り組む際の最も簡易な手法を紹介したものです。算定の目的(経年での削減評価、マネジメントへの活用等)によっては、簡易な手法では不十分なこともありますので、ご留意いただいた上でご使用ください。

簡易な算定方法(例)(出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省)から改変)

 

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